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山の上の展望スポットから見下ろす、雲の浮かぶ広い空と、森・田畑・山並みが幾重にも重なる見晴らしのいい風景。手前に木の柵と草花が写るモノクロ写真

「変わらないものを考えてもしょうがない、じゃあどうすればいいか」

小川遥加さん(東京都立八王子盲学校出身)

地域の学校から盲学校へ転校し、大学を経てエンジニアとして働く小川遥加さん。インタビューをしながら、「ご自身の人生の『見晴らし』をよくするためにたくさん調べたり工夫をされているな」という印象を抱きました。視力が低下していく中でも、自分の足場を着々と生み出している小川さんのお話、是非ご覧ください。

🎧 小川遥加さんのインタビューをAIポッドキャストで聴く

※この音声は記事をもとにAIが生成したもので、独自の解釈が加わっていることがあります

聞き手:―小川さん、よろしくお願いします。時間を変更していただきありがとうございました。

小川さん:
いえいえ、大丈夫ですよ。

聞き手:―ではまず、ざっくりとした自己紹介をお願いします。

小川さん:
小川遥加と申します。東京都立八王子盲学校の出身で、現在は社会人3年目、エンジニアとして働いています。小学1年生から中学1年生までは地域の学校に通い、中学2年生で八王子盲学校に転校しました。高校は文京盲学校で3年間過ごして、大学に進学して今に至ります。

聞き手:―見え方についても教えてください。

小川さん:
視力は0.02ほどで、物がある、人がいるということは分かりますが、小さい文字や色の境目などは見えづらいです。パソコンを使う時は画面を拡大したり、ときにスクリーンリーダーを併用しています。

ヌーナン症候群という難病で、視覚のほかに聴覚にも障害や心疾患があります。補聴器をつけており、日常会話は問題ないのですが、混雑した場所や賑やかな場所だと隣や向かい側の人の声でも聞き取りにくいことがあります。

一番前の席から盲学校へ

聞き手:―小学校時代はどのように過ごされていましたか。

小川さん:
当時は視力が0.2〜0.3くらいあったので、一番前の席にしてもらったり、段差に蛍光テープを貼ってもらったりといった配慮を受けながら過ごしていました。iPadを持ち込んで板書を撮る工夫もしていましたね。

学校の階段。各段の縁(段鼻)に、視覚的にわかりやすいよう蛍光テープが貼られている。

聞き手:―中学2年生で盲学校に転校されたのは、どういう経緯だったのでしょうか。

小川さん:
一番は勉強面ですね。中学に入って教科書の文字が小さくなったり、授業のスピードが上がったりして。先生が、左右の黒板を目一杯つかって書くような授業スタイルだと、内容を理解しながらノートを取るのが難しく、成績もあまり良くありませんでした。

親が「このまま普通校にいると本人がしんどくなるんじゃないか」と心配して、いろいろな学校を見学してみて、八王子盲学校への転校を決めました。

聞き手:―盲学校に入ってみて、驚いたことはありましたか。

小川さん:
いっぱいあります(笑)。まず生徒が少なくて先生が多い。同級生は4人でした。廊下に出てもすぐ先生がいるので、最初は「監視されている感」がすごかったです。寄宿舎でもずっと同じ顔ぶれで、当時はまだSNSも普及していなくて、地元の友達との連絡手段も途切れがちだったので、閉塞感を感じていました。

聞き手:―その環境には、どのように慣れていきましたか。

小川さん:
当時は障害受容も今ほどはできてなくて、白杖を持つのも周りの目が気になって抵抗がありました。でも、盲学校の中で「自分はどうすればいいのか」という感覚を少しずつ掴みはじめて。一人になりたい時の過ごし方も分かってきて、少しずつ余裕が出てきました。

殻を破った3年間

聞き手:―高校の進路はどのように決めましたか。

小川さん:
部活動が充実していたことと、人数が多いところに行きたかったので、文京盲学校を選びました。音楽部の合唱とフロアバレー部に入って、歌うことも体を動かすことも楽しめました。先輩に誘われて生徒会にも入りましたし、文化祭や体育祭の実行委員も積極的にやりました。

体育館で、フロアバレーボール用にセッティングされたコート。床すれすれの高さに張られた低いネットと、その手前に置かれた一個のボール。奥にはステージと舞台幕が見える、モノクロ写真。

聞き手:―高校の3年間は、小川さんの人生にとって、どのような時代でしたか。

小川さん:
すごく充実していました。体育祭の実行委員をやった時に、みんなで「どうすれば全員が楽しめるか」を話し合って、実際にやってみて、またブラッシュアップしていくプロセスが本当に楽しくて。中学までは流れに身を任せるタイプだったのが、高校では自分が中心になって引っ張っていく機会が増えた。人見知りだった自分が活動を通して発信できるようになって、殻を破れた感覚がありました。

聞き手:ー 中学までとは「主体性」が大きく変わったように感じます。何が変化のきっかけだったのでしょうか。

小川さん:
何でしょうね(笑)。でも、盲学校の生活に慣れて、周りがよく見えるようになったんだと思います。「この人はこれが得意だから、これをお願いしよう」とか、余裕を持って周りの人との関わり方を考えられるようになった。

また、いろんな見え方の人がいることを知り、ロービジョンのこともそうですが、自分の障害についても理解が深まったことで、「変わらないものを考えてもしょうがない、じゃあどうすればいいか」という考え方が定着していきました。

畑違いの世界へ

聞き手:―大学ではどのような勉強をされていましたか。

小川さん:
「一人ひとりに合わせたサポート」に興味があって、社会福祉士の資格を取るコースに進みました。実習では精神障害のある方の相談支援を経験して、現場で利用者の方と実際に関わりながら学べることは多かったです。

聞き手:―就職活動に関しては、レポート記事をたくさん公開されていますよね。改めて、どのように進められましたか?

小川さん:
最初は福祉業界を考えていたのですが、「本当に福祉だけでいいのかな」と思って、業界を問わず片っ端から見て回りました。コロナ禍でオンライン面接が主流だったので、1日に3〜4件詰め込んで受けていましたね。

限られた時間で自分のことを知ってもらうために、自分の見え方や必要な配慮は1枚の紙にまとめて伝えるようにしていました。ただ、障害者雇用枠だと未経験からエンジニアになれる求人がほとんどなくて、最初は一般枠に絞って探しました。最終的に今の会社に縁があって、エンジニアとして入社できました。

聞き手:―現在はどのような仕事をされていますか。

小川さん:
Webサイトの受託開発をしています。お客様の依頼を受けてサイトを作ったり機能を修正したり。AIを使ってプロトタイプを作ることもあります。実は、大学での福祉の勉強とは全くの「畑違い」なんですよ(笑)。

聞き手:ーなるほど!これまでの経験で、今の仕事に役立っていることはありますか?

小川さん:
正直あまりないかもしれません。でも、その都度勉強して吸収していくスタイルは自分に合っているのかなと。

また、もともとITを目指したきっかけはアクセシビリティへの興味だったので、スクリーンリーダーを使っている自分の経験や見えにくい立場からの視点を、いつか開発の現場で活かしていきたいと思っています。

山の上の展望スポットから見下ろす、雲が浮かぶ広い空と、緑の森・田畑・山並みが幾重にも重なる風景。小川さんの人生を象徴する見晴らしのいい景色

聞き手:ー これからチャレンジしたいことはありますか?

小川さん:
「選択肢を広げる」活動をしていきたいです。自分自身、就活や学校生活の中でいろいろなことを知るうちに、「やりたいことがあるのに、できないと思い込んでいる人」がいるのはもったいないなと感じるようになりました。私のnoteや発信が、誰かの選択肢を広げるきっかけになれば嬉しいです。

聞き手:―最後に、盲学校で学ぶ後輩たちにメッセージをお願いします。

小川さん:
まずは色々なことに興味関心を持ってほしいです。少しでも気になることや興味があることがあれば、諦めずに調べてみたり、人に話を聞いてみたりしてみてください。きっと今よりも選択肢や視野が広がりますし、いろいろなアドバイスや情報を得ることができます。

また、高校卒業以降は、自分から発信・交渉しなければいけない場面が増えていきます。生徒会でも実行委員でも部活でもいいので、まずは学校の中でできる活動に挑戦してみてください。そこで学べることは本当にたくさんあります。

聞き手:―この流れで、保護者の方へもお願いします。

小川さん:
お子さんが興味関心を示したものややってみたいと言ったことに対しては、制限せずに挑戦させてあげてほしいです。やってみることで、できるできないも含めて多くの学びが得られ、その後の将来の選択肢がより広がります。

そっと見守りながらも、本当に危ない、違う方向に進みそうになった時は手を差し伸べてあげてください。

聞き手:―ちなみに、日々色々と悩んでいる方も多いのですが、そうしたときには誰に相談すればよいでしょうか?

小川さん:
もし身近に相談相手が見つからなければ、当事者団体やコミュニティに相談してみてください。様々な経験をした先輩たちがたくさんいます。

また、今はSNSで発信している人もたくさんいるので、自分から声をかけてみるのも一つの手です。わからないこと、聞いてみたいことがありましたらご相談に乗りますので、noteのコメントやメッセージ、SNSからご連絡ください。

より良い学校生活になるよう、応援しています。

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