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盲B盲G
暗い机の上に、点字を読むように人差し指の先をそっと触れさせた手のクローズアップ。モノクロ写真

「成功の反対は失敗ではなく、挑戦しないこと」

濵﨑雄三さん(大阪府立大阪南視覚支援学校出身)

大阪府立盲学校で幼稚部から中学部までの12年間を過ごし、高校から普通校へ。現在は点字図書館で14年目を迎える濵﨑雄三さんに、それぞれの環境での経験と今の活動について伺いました。

🎧 濵﨑雄三さんのインタビューをAIポッドキャストで聴く

※この音声は記事をもとにAIが生成したもので、独自の解釈が加わっていることがあります

聞き手:ー濵﨑さん、よろしくお願いします!ちなみに盲B盲Gはどちらで知りましたか?

濵﨑さん:
盲学校時代の恩師や点訳ボランティアさんなど、同時に3人から「濵﨑さんも記事にしてもらえば?」と連絡をもらったんです(笑)。あまり自己主張は強い方ではないのですが、それなら是非一度取材してもらいたいと、今回連絡させていただきました。

聞き手:ーご連絡いただき嬉しかったです。それでは、まずは「ざっくり自己紹介」をお願いします。

濵﨑さん:
はい、濵﨑雄三です。大阪府立盲学校、今の大阪府立大阪南視覚支援学校の出身です。大阪府吹田市で二卵性の双子として生まれ、生後8ヶ月で全盲になりました。3歳の時に堺市へ転居して、幼稚部から中学部までの12年間を盲学校で過ごしています。

高校は総合学科(一部の授業を選択する)の柴島高校に進学し、その後は大阪人間科学大学で健康心理学を専攻しました。2013年に点字図書館に入職して、点字製作の担当として、今年で14年目になります。

五十音を叩き込まれた教室

聞き手:ーどのような幼少期を過ごされましたか?

濵﨑さん:
私は3人兄弟の末っ子なのですが、双子の姉も上の姉も目が見えていて、特に同じ学年の姉が地域の学校で楽しそうにしている姿を見ていたので、外の世界への憧れはずっとありました。

母は保育士やヘルパーをしていた人で、リトミックやピアノ、スイミング、ギター、ドラムと、たくさんの習い事もさせてもらいましたね。1年ともたずに挫折したものもありましたけれど、どれも好奇心をくすぐられるものばかりでした。学校の帰りには母が、休みの日には父がよく電車にも乗せてくれて、各地の駅の音の違いを聴いたりと、私の好奇心はいつも外を向いていましたね。

防音室に置かれた黒いドラムセット。シンバル、タム、バスドラムが並ぶ。モノクロ写真。

聞き手:ー盲学校での12年間は、どのような環境でしたか。

濵﨑さん:
視覚障害教育が徹底していました。小学部では毎月のように点字のテストがあって、五十音の正確さや速読、タイピングを叩き込まれるんです。歩行訓練も同じで、当時は必死でしたけれど、おかげで我流にならない確かな基礎が身につきました。

聞き手:ー小学校時代に印象に残っていることはありますか。

濵﨑さん:
小学5年生の時に、母のすすめでボランティア活動を始めたことですね。それまでは誰かに手伝ってもらう側だったのが、地元の祭りで店番や呼びこみ、チラシ配りをして、おつりも暗算で渡すんです。自分の居場所を見つけて、できることを増やしていく喜びを初めて知りました。

同じ頃に出会った音楽の先生に歌うことの楽しさを教わったのも大きくて、この2つの出来事がなければ今の自分はなかったと思います。

沖縄から北海道へ

聞き手:ー高校から普通校に進むというのは、当時としては珍しかったのでしょうか。

濵﨑さん:
はい、かなり珍しかったと思います。そもそもは中学への進学の時に、双子の姉と同じ地元の学校に行きたいと希望したのですが、門前払いでした。なので高校こそはと、点字受験で地域の普通高校へ進むことを迷わず決めました。入学したら「1年間は絶対に無遅刻無欠席で通い続ける」と決めていました。まずは姿勢で示すしかないと思ったんです。

聞き手:ー普通校に入ってみて、実際いかがでしたか。

濵﨑さん:
沖縄から突然北海道に行ったようなものでした(笑)。40人のクラスで、黒板を使った授業に戸惑いながら、最初はどう助けを求めればいいかもわからない状態でした。そこから、少しずつですが、パソコンと点字ディスプレイを使って読みやすいノートづくりのコツをつかんでいきました。

聞き手:ーコミュニティにはどうやって馴染んでいったのでしょうか?

濵﨑さん:
軽音楽部に入って100人以上の部員と関わるようになったのは大きかったです。その中には当然同級生やクラスメイトもいたので、教室の外で音楽を通して繋がれたのはよかったです。

また、決定的だったのは2年生の北海道修学旅行ですね。担任の先生が、「場面ごとに濵﨑のサポート役を変えよう」と提案してくれたんです。午前はこのペア、午後はこのペアと、役割をローテーションする。おかげでクラスのほぼ全員と話す機会ができて、友人たちからも「もっと遠い存在だと思っていたけど、イメージが変わった」と言ってもらえました。

誰もいない教室。木製の机と椅子が並び、奥に黒板と教卓がある。モノクロ写真。

人生の立て直し

聞き手:ー盲学校の外側の世界にもうまく溶け込めたのですね。

濵﨑さん:
そうです。高校時代にいろいろな経験を積めたので、大学はすぐに馴染めました。健康心理学を学んで、大学祭の実行委員やシンガポールへの海外研修など、いろいろな活動に打ち込みました。

聞き手:ーここまでの人生はある意味で「順調」に聞こえてしまうのですが、その後の就活でご苦労されたのですよね。

濵﨑さん:
はい、そうなんです。就職活動は大学3年の夏から始めたのですが、「活字が肉眼で読めなければ面談不可」「筆記試験やグループワークからの除外」「見えなくてできる仕事があるか分からない」といった返答が続きました。

企業に要望書を出したり、パソコンの持ち込みを申し出たりと思いつくことは全部やったんですけど空回りが続いて、自力では読めない不採用の書類をシュレッダーに押し込む日々でしたね。

聞き手:ーそこからどのように立て直されましたか。

濵﨑さん:
大学4年の夏に、東京でのダイアログ・イン・ザ・ダークのインターンシップに参加したことが転機になりました。それまで一人でホテルを予約して泊まった経験すらなかったので、生活面でも大きな一歩でした。卒業後は1年間の職業訓練でWordやExcel、電話応対などを学んで、2013年の春に縁あって点字図書館に入職しました。

聞き手:ー現在はどのような仕事をされていますか。

濵﨑さん:
点字図書の校正や新しい本の選定、全国組織の委員、150名を超えるボランティアの方々の窓口を担っています。今は指で読む点字ユーザーと、点字データを音声読み上げで聞くユーザーが混在していますので、点字の規則に沿いつつ、読みやすい・聞きやすいことが大切だと思っています。

たとえば点字には「下がり数字」という伝統的な表記があるのですが、音声読み上げでは数字ではなく言葉として認識し、誤読してしまうんです。ボランティアの方々と相談しながら、指先での読みやすさと音声での聞きやすさに配慮した点訳を意識しています。

そんな中ひとつ思うところがありまして…もっと点字図書館で働く当事者が増えてほしいんです。

聞き手:ー今は少ないんですか?

濵﨑さん:
はい。統計などを詳しく読めていないのですが、おそらく当事者職員の割合は全体の3割から4割程度にとどまっていると思います。

例えばグラフや図などの視覚情報を点字で伝える際、そこには唯一の正解があるわけではないんです。並べ方を工夫したり、語句を短く略記したり、書き出し位置を変更するなど、「触読」で理解し、比較するためには、日々点字を使って生活している当事者の視点がもっと必要だと考えています。

点字に触れる人の指先のクローズアップ。

「成功の反対」とは

聞き手:ー仕事以外に取り組まれていることはありますか。

濵﨑さん:
全盲の仲間と「ティックルズ」という二人のユニットを組んでいて、年に数回、歌や演奏を楽しんでいます。7年ほど前に始めて、今では生きがいの一つですね。2023年の秋からは視覚障害者向けの放送局「JBS日本福祉放送」で月に2回、「なにわ体感!見たことないおおさか」という番組を担当しています。普段、なかなか手に取ることのないチラシやパンフレットを読んでもらい、全盲の視点からコメントするという30分の番組です。

聞き手:ー楽しそうな番組ですね。

濵﨑さん:
また、「私たちの就労経験を伝える」ことをコンセプトに地元・関西で2017年に誕生した視覚障害者就労相談人材バンクにメンバーとして加わり、2019年からは事務局員として活動しています。

講演では「眠い講演はしない」をモットーに、条件が許せば最後に歌や演奏も盛り込んでいます。

聞き手:ーものすごい活動量ですね…!

濵﨑さん:
はい、「成功の反対は失敗ではなく、挑戦しないこと」が私のモットーなんです。これは、病気と闘いながら生き抜いたソロアイドルの丸山夏鈴さんがドキュメンタリーで残した言葉で、社会人の駆け出しのころに耳にした言葉に涙を流し、今でも忘れられません。

聞き手:ー最後に、盲B盲G恒例なのですが、盲学校の生徒や保護者の方にメッセージをお願いします。

濵﨑さん:
何かしらの憧れを持ってほしいです。あの人みたいになりたい、あの仕事をしてみたい。その憧れが、困難を越えていく力になると思います。盲学校は基礎を作る場所としてとても大切ですが、社会で働いている当事者と触れ合う機会がもっとあるといいなと感じています。

いろいろな選択肢を早い段階から知る機会があれば、子供たちの視野はもっと広がるんじゃないでしょうか。

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